Rest of my Prince
「じゃあボクが鬼ね~、10数えるよ~」
強制的に始められた鬼ごっこ。
参加者は由香ちゃんとあたしと旭と蓮と司狼。
蓮も…最初の刺々しさはなくなった。
司狼も…"女"だとの差別発言も少なくなった。
2人共、久遠のようにぶつぶつ言うけれど、笑うようになった。
――ぎゃはははは。
何処かで陽斗が喜んでいる。
彼に繋がる皆が、少しでも今が楽しいのなら…本当に嬉しく思う。
きっと陽斗もそう思っている。
「ひいいい!!? 何で由香ちゃん、あたしばかり狙うの!!?」
三日月形の目をして由香ちゃんは、あたしを追いかける。
彼女がそんな目をしている時は、何かある。
あたしは全速力で走る。
走る。
走る。
だけと由香ちゃんは早い。
何だろ、この子…見た目によらず、随分と早い。
そしてあたしは追いつかれ――
「ええ!!?」
ぼんと背中を押されて、何かに追いやられたと同時、
「よき旅を~!!!」
がしゃんと外から鍵をかけられて、その空間は地上を離れていく。
焦るあたしの後ろから、
「……嵌められたね、芹霞」
溜息と共に…だけど何だか嬉しそうな玲くんの声がした。