Rest of my Prince
 
そう、由香ちゃんに追いやられたのは観覧車。


由香ちゃんは相変わらず三日月目であたし達に手をひらひらと振る。


「な、何で玲くんが乗ってるの?」


「んー。何でだろうね?」


玲くんは、遊園地に来たらずっと…あたしと観覧車に乗りたがった。


理由は判らない。


もっと派手なアトラクションの方が好きそうなのに、どうして地味な観覧車がいいのか。


「ふふふ、櫂も煌も…睨んでる、睨んでる」


何処か楽しそうな玲くん。


まあ…楽しいのなら、いいけれど。


玲くんが微笑みながら隣に座ってきたから、あたしは狭かろうと向かい側に座る。


「ん?」


可愛く首を傾げて、また隣に座ってくるから、あたしはまた向かい側に座りなおす。


「れ、玲くん…同じ処に座ってると、傾いちゃうよ?」


それでなくても風が強い。


ゆらゆら動いて少し怖い。


「大丈夫だよ。この風は…きっと櫂のせいだから」


櫂の風の力?


何故に?


あいつはあたしを怖がらせたいのか?


「馬鹿だね、いや…可愛いのか。頂上に行かせないつもりだよ?」


「玲くん…頂上に何かあるの?」


「正確には、何か"する"んだけどね?」


「何を?」


「それは着いてからのお楽しみ」


何だろう?
< 62 / 235 >

この作品をシェア

pagetop