Rest of my Prince
 玲Side
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まざまざと見せ付けられる、櫂との絆。


地上からこんなに離れて、僕とはこんなに近くにいるのに。


感じるのは櫂の心だけ?


泣いて思うのは、何故?


ねえ…


僕の心は…どう映ってる?


戸惑っている芹霞。


一体何に?


"頂上でキスすればずっと離れず結ばれる"


恋人達に与えられた…都市伝説のようなジンクス。


判っているからこそ、櫂は観覧車に乗ろうとする僕の邪魔をし続けていたんだ。


たかがジンクス、されどジンクス。


そんなものに頼らねばならない程、未来が不安だから。


いくらこっちの意思が固くても…芹霞の心が見えないから。


怖いから――。



あと少しなのに、届かないジンクス。


それは僕と芹霞の関係?


いや…そんな処まで、進んでいないんだろう、現実は。


付き合うといっても"お試し"で。


いつも芹霞は、櫂の窮地に血相を変えるから。


僕ではない、他の男に――。


笑いたくもないのに…顔の筋肉が…笑いを作った。


「玲くん…あたし、玲くんが好きだよ?」


芹霞はそう言って、僕の顔を覗き込んだ。

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