Rest of my Prince
「これは…私の、自分との闘いですから」
発作のように私を襲う幻覚と痛苦。
ひと時の自由と引き換えに、突発的な"責め"を負った私は、薬を飲まねば発狂寸前となる。
薬を飲めば中毒となり、次回の発作の辛さは拡大する。
場所と時間が合致すれば、耐えてその場を凌ぎたいけれど、玲様の命令で東京を駆け回っている身上なれば、そんな悠長なことは言ってられなかった。
玲様の命令は絶対的だ。
緋狭様との鍛錬時、密かに手渡される薬が入った小瓶。
もしこれがなければ、私はどうなってしまうのか。
だけど命じられている調査は、私の働き次第で様相を変える。
櫂様と玲様がどう判断してどう動くべきか、それは私のもたらす結果にかかっているのだから。
「皆は知らないの?」
「多分…」
隠しているつもりだけれど、相手は櫂様や玲様。
いつ気づかれるか判らない。
「何で頼らないの?」
相変わらず無表情なその顔に、浮かぶのはただの虚無。
「足手纏いになりたくありませんから」
余計な心配をかけたくない。
荷物になりたくない。
ただそれだけのこと。
「きっと…一番に見抜くよ、せりが」
「え?」
「いつまで隠し通せるかな?」