Rest of my Prince
それなのに出る言葉は悪辣で。
特に櫂様に対しては罵詈雑言、正直久遠をぶん殴ってやりたいけれど。
それでも何か櫂様も楽しんでいるようにも思えるから。
私は我慢している。
芹霞さんの想いをひたすら隠し、見守るスタンスは私に通じるものがあるけれど。
だからこそなのか、私は久遠を嫌えない。
13年間…それこそ櫂様よりも長く、2人分の想い抱えて。
身体の成長が止まっても、想いは止まることなく。
19歳の頃から、4歳の芹霞さんを…。
4歳の…。
櫂様。
19歳と4歳です。
そこまで、目くじら立てなくてもいいのでは?
「……ロリコン?」
「ゴスロリに言われたくないね」
不機嫌に言われてしまった。
「お前さ、もっと人と関われよ。皆それぞれ自分勝手に楽しんでいるんだからさ、こんな時ぐらい…羽目外したら?」
そう言われても…。
「ああ、なんかせりが呼んでる。ほら行くぞ」
私は久遠に手を引かれて。
ああ、本当にいいんだろうか。
私は紫堂の警護団長。
櫂様をお守りするのが役目なのに。
「紫堂櫂もいるから。どうしてお前達は手がかかるんだろうね? ほら、歩く」
ああ…いいのだろうか…。
私が遊園地なんて。
「アカ~、サクラチャンにお兄様が出来たみたいだよ? 同類哀れんでるって奴?」
「あいつは"強制"や"命令"がない限り、自分から動かない奴だからな。だけどなアオ。遊園地に入った途端、あいつの目がくりくり動いていてな…あいつも遊園地好きなはずだ」
ひ、緋狭様…。
私は馬鹿蜜柑みたいに…遊園地好きでは…決して…。
園内を歩き回る着ぐるみのキャラクターと、ピース姿で写真を取っている赤色と青色に、私は目で訴えた。