Rest of my Prince
「では…願い事を思い浮かべながらカードをまとめて、3回カットしてください」
願い事は…試験結果なんだけれど。
仕方がない。
視線を感じるから…
恋愛運。
あたしの運命の人はどんな人ですか?
カードを伏せたまま切り終わり、占い師に渡すと、占い師は決められた3つの位置にカードをめくっていく。
色とりどりのカードの絵柄は、見ているだけでも面白い。
食い入るように見つめるのは男達。
「過去は…『死神』の逆位置。現状は…『女帝』の逆位置。未来は…『運命の輪』」
そしてこう判断した。
「凄惨な過去から蘇り、現状は…多くの愛が過剰に注がれた状況で、決めきれない貴方の優柔不断さが目立ちます。未来は…」
「未来は…?」
煌がじっと占い師を見つめて。
「流転します。今在る状況が反転するか、今は見えないものが露になるか」
「あ?」
「浮き沈み烈しい未来。運命の輪というものは、主体が貴方ではなく…周囲にあることを意味しています。つまり…貴方を取り囲む人々によって、貴方は翻弄されるでしょう。その先にあるのが貴方の運命の相手」
「ううむ。じゃあ、その相手は未来にぱっと出てくるの?」
「在る意味そうとも言えるでしょう。貴女にとって意外に思える相手こそが、運命の人と言えるでしょう。それは突然現れたように感じるかも知れませんね。それまで意識に上ってない、身近な男性を含めて」
何とも微妙だ。
あたしにはよく判らない。
「よく判らねえから、次櫂!!!」
やはり理解してない煌が仕切った。
「3月9日」
深みのある声が響く。
「……」
「……? 3月9日…だが?」
「……はっ!!! ええ…と、牡羊座ですね」
大丈夫かな、この人。
今絶対櫂にうっとりとして、我忘れていたよ。