Rest of my Prince
「過去は…『力』 現状は…『皇帝』 未来は…『悪魔』」
櫂の目が細められる。
「ここから先は、俺もこいつらも…未来の結果だけでいい。悪魔は何だ?」
「よくないものに一方的に束縛されます。今まで水面下にあった枷が公となり、自分の欲望と周囲の…悪環境に雁字搦めになり…身動きとれなくなるでしょう」
櫂は押し黙った。
「次は僕。1月21日。…水瓶座だね」
「……。……はっ。次ですね。ええと…過去は『吊るし人』、現在は『節制』の逆位置、未来は『月』の逆位置。未来は…隠していたもの、隠そうとしていたもの…心の中の不安や恐れが具体的に現実化するでしょう。主に精神面の弱さが大きく影響して、今後の進展に影を落とすでしょう」
玲くんも押し黙った。
「俺。本当のは知らねえけど…2月25日」
「……どうして揃いも揃って…いえ、独り言です。魚座。過去は『戦車』の逆位置、現在は『愚者』、未来は『審判』の逆位置。未来は…過去に起因する悔いるべき事柄が再浮上し、事態は行き詰まることでしょう」
煌も押し黙った。
「じゃあ最後、桜ちゃん。ええと…」
「9月13日」
「……萌え。…い…いえ、お気になさらず。乙女座。過去は『女教皇』、現在は『正義』、未来は『塔』。予想外の突発的な事象により、今在る環境が破壊され絶望感を味わうでしょう」
桜ちゃんも押し黙った。
「解決策は!!?」
あまりに酷い結果に、思わずあたしは叫んだ。
占い師は一度よくカードを混ぜ、目を瞑って1枚カードを引いた。
それをもう3回繰り返して、溜息をつく。
「解決策に…4人分4回引いたカードは全て同じ。
『運命の輪』。先程お嬢さんが引いたカードが鍵。男性陣の行く末は運命の輪に、…それを"未来"にした貴女に導かれているといえる。このカードの基本的意味は"偶然"。偶然と偶然が重なり合えば、自ずと"必然"となる。
転機が訪れます、皆さんの恋愛に。
運命は烈しく流転し、環境は変化する。覚悟していて下さい。直面する難問を乗り越えることが出来れば、運命は必ず好転します」
占い師は、意味ありげに笑った。