Rest of my Prince
「もう十分俺…もがいているから、イロイロ。もう勘弁」
やはりこいつは元気がない。
いつもなんだかんだと家で煌と楽しくわいわいやっていたから、勉強三昧でいる今の環境は…煌にこたえているんだろうか。
そういえば…最近、ごはんもにぼしとご飯と味噌汁だ。
よく見れば、煌がやつれている気がする。
そんな状況にされても、距離をとったまま神崎家に居座るワンコ。
まあ、ここが奴の家だから当然なんだけれど、辛いなら櫂の処にでも行けばいいのに。
元々煌は櫂の護衛なんだし。
「櫂は…桜伴って動いてる。俺は芹霞の見張り」
「見張り?」
「あ、いや……玲の」
何だか言いにくそうに、ぶつぶつと言った。
「玲くんの?」
どうしてそこに玲くんが出てくるのか判らない。
だけど煌は、櫂から何か使命を受けているらしい。
「近くて…遠いよな」
ぼそり。
橙色が溜息をつきながら、声を漏らす。
「は?」
「お前」
褐色の瞳が絡んできた。
「触れられる距離なのにな…」
そう手を伸ばしてきたから、
「煌、盛ると絶交!!!」
すると奴は項垂れる。
「お預け喰らった犬の気分……。俺、犬じゃねえのに」
どうみても、ワンコにしか見えない。