Rest of my Prince
「あんた…そんなに甘えッ子だったっけ?」
本当、煌は色々と裏切ってくれる男だ。
道すがら、煌に頭を下げている怖いお兄様方は、こんな煌を見たら度肝を抜くだろう。
「……仕方ねえだろ? お前構ってくれねえし…」
ああ、イヤだわ。
このワンコ可愛い。
あたしの母性本能を大いにくすぐる。
きゅんきゅんさせる。
だけど今のあたしは、テスト9割!!!
心を鬼にしないと玲くんとおでかけ出来ない。
大体、こんな状況に追い込んだのは、櫂と一緒に最終日を邪魔した、煌のせいでもあるんだから。
「玲はいいよな。ここまで"おでかけ"したいと思ってもらえて」
煌は拗ねた。
「あんたとはおでかけしてるじゃん」
「2人で朝からしてねえだろ、デート」
「デ、デート!!?」
「おでかけっつったら、デートだろうが。何を今更」
あたしの頭の中では、"おでかけ"は"デート"ではなく、あくまでただの"おでかけ"で。
「そう…ヤラしく思ってるのは、煌だけだってば」
「……思ってないのは、お前だけだってば」
責めるように睨まれた。
「え、じゃあ玲くんも"デート"だって思ってるの?」
「当然」
え、何でそう言いきれるの?