Rest of my Prince
好き。
あたしだって煌が好きなんだけれどな。
「どうすれば、意識させられるのかな…。お前から動いてもらえるのかな。この家にいる限り駄目なのかな…。もっと頑張り見せることが必要なのかな…」
段々と声が小さくなってくる。
「よし。芹霞」
何か閃いたのか、突如合わせられた瞳がきらきらと瞬いた。
「俺も勉強頑張る。俺が8割取れたら、お前がどんな点数取ろうと関係なく…俺と"おでかけ"だ。お前が9割とっても、俺が8割とれれば玲との"おでかけ"は無効!!」
「はあ!? あんた何勝手に!!! しかもあたし9割なのに、あんた8割って何よ!!?」
「仕方ねえだろ、俺の方がお前より馬鹿なんだから」
「威張り腐って言うな!!! …っと、それあたしの参考書!!!」
「ケチケチすんなよ。俺との"おでかけ"かかってんだから、俺もがり勉になってやる。俺だってな、高校受験に合格できる"やれば出来る子"なんだ!!!」
「補欠合格が何を偉そうに。でもま…煌は確かに"やらないだけの残念な子"だから、やる気だせば可能かも…って!!! じゃああたしと玲くんのおでかけどうすんのよ!!?」
「ああ、俺に話しかけるな。ええと…こここれを代入して…、な、芹霞。ここ判らないから教えろ」
「はあ!? あたしが教えるの!!?」
「家にはお前しかいねえんだから!!! 正直、櫂は怖んだよ。あいつスパルタだから…」
「その櫂のおかげで合格したくせに何を…。じゃあ玲くんに教われば?」
「玲はさ…表情と言葉が一致しねえから。にっこり笑って、容赦なく俺を絶望の底に沈めるような気が…」
"えげつねえ"
煌は、顔を歪めさせた。
「じゃあ桜ちゃんは?」
「お前、俺殺す気か!!? 1度でやらなきゃ俺死ぬぞ!!?」
「…はあ、その捨てられた子犬の目、やめてくれる? 判ったから。あたしが教えるから。…本当、教えて貰いたいのはあたしなのに、どうして入院しないで通学してた煌に、あたしが教えることになったんだろ」
あたしは項垂れた。