Rest of my Prince
 


「……合ってる」


櫂様のもらした言葉に、驚いた私も…煌が解いた問題集を覗き込む。


櫂様がつけた赤い丸。


いつも直線ばかりひかれているのに、何故に丸!!?


「ほら!!! 俺だってやれば出来るんだ」


ふんぞり返って鼻高々。



その時、烈しい雷の音がして。


思わず窓を見ると…やはり嵐が来たよう。


横殴りの雨が、嵌め殺しの窓を打ちつける。


完全防風の窓が、カタカタ小刻みに震えた音をたてる。


もう冬も近いというのに…まるで台風だ。



「煌のド根性…このままだと…危ないな」



玲様の呟きが聞こえた。


芹霞さんとの"おでかけ"。


それを含めた、"お試し"の恋人関係の復活。


3日間であろうと、"お試し"であろうと、恋人は恋人。


故に誰もが邪魔をして、

故に芹霞さんと玲様は抵抗する。


芹霞さんの懸命さは恋心かどうかは微妙だけれど、玲様はその3日間で進展を目論んでいるのは間違いない。


「煌が8割で芹霞と"おでかけ"なら…」


突然櫂様が言葉を紡ぐ。


「煌が8割未満、かつ芹霞が9割未満…即ち煌が79点以下、芹霞が89点以下だったら、俺と"おでかけ"だ」


にやり、と櫂様は笑う。
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