Rest of my Prince
 
「うううっ。具合悪っ。頭に数字が浮かんでくる…」


徹夜が誘因し、今までの勉強のやりすぎが今頃祟ってきたのか、テスト直前で体調を崩したらしい芹霞さん。


必死に…打開策を見出さそうと、知恵を絞っている煌と玲様。


そんな中、櫂様だけが涼しい顔で珈琲を飲んでいる。


「芹霞、よくなってね。僕と"おでかけ"しようね?」


「させねえよ!!!俺頑張るから!!!」



馬鹿蜜柑。


それくらいの意地、どうしていつも見せないんだ?


テストはあと2日。


明日は高校の始まる日。


その次日の…1時間目である数学の時間に、噂の試験は行われるらしい。


実質勉強できるのは今日一杯。


付け刃の馬鹿蜜柑がどれほどの奮闘を見せるのか。


そして芹霞さんは復活できるのか。



「……桜、お前面白がってるだろ?」


褐色の瞳が、詰るように私に向けられた。


「別に……」


「嘘つけッッ!! お前さっきから目がくりくりくりくり動いているんだよ!!! 何だよ人事みたいにさ、俺達必死なのに!!!」



それは人事だから。


当事者となって、櫂様玲様と張り合うなんて…愚の骨頂。


私は静観しているのみ。


誰が…芹霞さんと"お試し"をするのか、


私はただ見守るのみ。
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