Rest of my Prince

└そして結果

 桜Side
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あれから――


芹霞さんは本格的に体調を崩して風邪をひいてしまった。


玲様の回復結界も、無理に無理を重ねて尚も勉強する芹霞さんの…消耗しきった身体には追いつかなかったらしく、芹霞さんは冷えピタを額に貼り、布団にくるまりながら…高熱による朦朧とした意識の中、白目を剥きながらも問題集を解いていたらしい。


煌は…自己嫌悪に陥り、不器用な手で剥いた…不細工すぎる自称"うさぎ"の林檎を芹霞さんに差し出したらしいけれど、


――震える動物は食べられない。


そう拒まれて、泣きそうな顔で…しゃりしゃりと林檎を食べていた。


馬鹿蜜柑は勉強処の話ではなく…そわそわ落ち着きがない。芹霞さんが心配で心配で仕方が無いらしい。


櫂様は櫂様で、


――はあ。俺が9割を言い出したばかりに…。


自責の念に囚われているらしい。


――芹霞…。


玲様はどんな態度をとっていいか判らないというような…狼狽の色を見せて。


9割とって貰いたいけれど、その前に芹霞さんの体調が心配で溜まらないらしく。


かといって"お試し"の復活がかかっているテストはとりやめにならないらしく…秋休み明けの初日は、とりあえず桐夏には行ったものの…途中で倒れて神崎家に強制送還。


――櫂…絶対延期…しないでよ…。あたし…頑張って…きたんだから…。


おろおろする男性陣は、芹霞さんの迫力に飲まれて黙り込んだまま。


――芹霞…もういいから、明日は休んで早く治して?


玲様が悲哀に満ちた声をかけても、冷えピタを顔中に貼りまくった…高熱に赤ら顔の芹霞さんは、意固地になって試験を受けると言い張る。



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