Rest of my Prince
 

「はいはいはい~、神崎の回復を祝して~、乾杯!!!」


完全復活した芹霞さんを、シャンパンを持って遠坂由香と宮原弥生がやってきた。


宮原弥生は元々ポーカーフェイスで、あまり感情を表に出さない女性だけれど、遠坂由香は感情豊かで…特に面白味ある出来事は、目の形に出る。


つまり、今のような三日月型で。


「ではでは!!! 結果発表~!!!」


宮原弥生と共に、クラッカーを鳴らす。


「まずはそこのオレンジ色。


君の点数は――



72点



頑張ったのに惜しかったね~」




すると思った以上に、煌は落ち着いていて。



「いいよもう。芹霞が熱出したの俺のせいだし」


返された答案がちらりと私の目に入る。


この馬鹿蜜柑。


余白の至る処に、"芹霞がよくなりますように"と書いてある。


これを見たらしい教師の赤文字。


"138回もの愛の言葉は、本人に伝えて下さい"


数えたのか、数学教師。


…切々とした何かを感じたのだろうか。



「由香ちゃん、あたしは!!? あたし!!!」


煌が脱落したとなれば、芹霞さんの点数が9割取れれば玲様と。


それ以下なら櫂様と"お試し"となるけれど。


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