Rest of my Prince
全員で答案を覗き込む。
赤い文字が上方にある。
『名前は、漢字で書きましょう』
熱でうなされていた芹霞さんは…平仮名で名前を書いたらしく。
『-0.5点』
「悔しい~~ッッッ!!!
数学のテストなのに~~ッッッ!!!」
「ということは…」
私は櫂様と玲様を見た。
「89点以下でもなく、90点以上でもないならば…」
「――…1日だ」
櫂様が大きな溜息をついてそう言った。
「玲との"お試し"…1日だけ認める。
煌――いいな?」
「……。判った」
2人の顔は、不承不承という顔つきだったけれど。
「やった~~ッッ!!!
玲くん、1日だけどやった~~ッッ!!!」
芹霞さんは玲様と手を叩き合って大喜びで。
「本当に…芹霞に弱いよな、俺…」
そう苦笑する櫂様の呟きが哀しげだった。
そうして。
決行日を玲様の意向に任せた芹霞さんは、
「お前…勉強したんだろうが!!!
煌…お前まで!!!」
煌と共に、折角蓄えた微分積分の知識をすっかり忘れて…
「あたし達の記憶は短期集中型なの。長期は無理!!!」
次回のテストはボロボロだったという。
Fin.