Rest of my Prince
■奪還
├前編
櫂Side
***************
「カラオケ行きたい」
芹霞と煌が同時に言った。
この2人は、往来でよく些細なことから喧嘩を始めるけれど、今回ばかりは煌も引かず、何故…そんな結果になったのか。
「今回はどうしたんだ、お前達…」
「もう少しで、桐夏祭だよね。今回は、五反田にある姉妹校…桜華学園20周年記念で、共同開催となるから規模が大きくなるでしょう? 生徒には当日まで内緒で芸能人が来るって噂じゃない。櫂も誰来るか知らないんでしょ?」
「ああ、そういうのは生徒会の役目だし…俺はノータッチだ。
で、桐夏祭が何の関係ある?」
「その芸能人…『Zodiac(獣帯)』の噂があるの。顔よし歌よしの…あたしが大好きな3人組を、煌が『あんな陳腐な歌い手』って馬鹿にするの」
正直――Zodiacなんていうものは俺は知らない。
「だってあんなの"男"じゃねえよ、なよなよして不気味な化粧してさ。しかもあんな下手くそな歌で、デビュー曲オリコン入りなんて絶対おかしいって」
「だから世間様の評価はそうなの!!! こういう風に煌が酷くいうからね、櫂が判断して!!!」
「……俺?」
「そう。こういうのは第三者が判断するのがよろし。家でZodiac聞いてたら、煌が悪口ばっかり言いに来るんだよ!!?」
何か言いたげにむくれている煌。
「そいつら…顔はいいんだな?」
多分――
「うんうん。最近出てきた凄~い格好いい3人組。ビジュアル系だけどね」
煌の嫉妬だ。
よく…考えてみろよ、芹霞。
「櫂なら絶対、彼らの格好よさ判ってくれると思うんだ!!!」
煌が敵視している男を、俺が好意的に思えると?
「櫂なら絶対、俺の気持ち判ってくれると思うんだ!!!」
煌に一票。
芹霞に好かれた"格好いい男"なんて、俺は嫌いだ。
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「カラオケ行きたい」
芹霞と煌が同時に言った。
この2人は、往来でよく些細なことから喧嘩を始めるけれど、今回ばかりは煌も引かず、何故…そんな結果になったのか。
「今回はどうしたんだ、お前達…」
「もう少しで、桐夏祭だよね。今回は、五反田にある姉妹校…桜華学園20周年記念で、共同開催となるから規模が大きくなるでしょう? 生徒には当日まで内緒で芸能人が来るって噂じゃない。櫂も誰来るか知らないんでしょ?」
「ああ、そういうのは生徒会の役目だし…俺はノータッチだ。
で、桐夏祭が何の関係ある?」
「その芸能人…『Zodiac(獣帯)』の噂があるの。顔よし歌よしの…あたしが大好きな3人組を、煌が『あんな陳腐な歌い手』って馬鹿にするの」
正直――Zodiacなんていうものは俺は知らない。
「だってあんなの"男"じゃねえよ、なよなよして不気味な化粧してさ。しかもあんな下手くそな歌で、デビュー曲オリコン入りなんて絶対おかしいって」
「だから世間様の評価はそうなの!!! こういう風に煌が酷くいうからね、櫂が判断して!!!」
「……俺?」
「そう。こういうのは第三者が判断するのがよろし。家でZodiac聞いてたら、煌が悪口ばっかり言いに来るんだよ!!?」
何か言いたげにむくれている煌。
「そいつら…顔はいいんだな?」
多分――
「うんうん。最近出てきた凄~い格好いい3人組。ビジュアル系だけどね」
煌の嫉妬だ。
よく…考えてみろよ、芹霞。
「櫂なら絶対、彼らの格好よさ判ってくれると思うんだ!!!」
煌が敵視している男を、俺が好意的に思えると?
「櫂なら絶対、俺の気持ち判ってくれると思うんだ!!!」
煌に一票。
芹霞に好かれた"格好いい男"なんて、俺は嫌いだ。