Rest of my Prince
更に煌の真っ赤な顔が拍車をかけたが、それでも変に顔を赤らめる男性店員を呼び止め、どうしたのかを問い質す。
「あ……はい。ただいまお連れのお客様から、先に帰ると伝言がありまして」
「は?」
そこまで…ショックだったのか?
「代金は頂いております」
俺は目を細めた。
芹霞の財布は…今俺の目の前にある。
金を持たない芹霞が、どうして使用料を支払える?
どくん。
嫌な予感がした。
「支払ったのは…どんな奴だ?」
「え…男性で…」
顔色を変えて口籠もる様に、"普通"の匂いは感じられなくて。
どくん。
「何で男だよ!!?」
店員に掴みかかりそうな煌を手で制する。
「どんな男だ?」
忘れていたんだ。
芹霞は俺の近くにいる女だから。
過去何度もの…誘拐に。
紫堂に仇為す者達の、道具とされることに。