恋愛アシスト
思わずふりむくと、やっぱり壮絶に素敵な顔が私を捉えて微笑んでいた。

細められた目が凄く魅力的で。

どうしよう。

くらくらする。

これって、これって、ドラマみたいなシーンじゃない?


「ずっと前から君の事知ってた。よく本屋にいるな…って」


彼が前から私を知っていた。

その事に、どきどきする。


「そして君が『懐かしい』とか言いながら童話のところで人魚姫を読んでる姿を可愛いなと思った」


彼は頬を染めた。


「そして読み終わった時…」


あ…。

本当に…ドラマみたい。

そう、思った。


「君が言った台詞を聞いて俺は恋に落ちた…」


…ドラマみたい。

春の近付きを知らせるような風が、…吹いたから。


「その台詞っていうのが…」


サラサラ…って、木々が揺れる音がする。

どうしよう…。

やだ…すごく、

すごくロマンチッ…




「『常々思うが地獄に落ちろこのクサレ王子が』」




………。

……………。

…………………。


……………………は?
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