恋愛ウエディング
長いお色直し。
いない新郎新婦。
あまりにも気持ちの悪い不安が喉を押してくる。
何かあったんだ。
そう思った。
「義姉さんが出血した。切迫かもって」
健二さんのその言葉に、息が止まりそうになる。
姉のお腹にすでに新しい命が宿っていたことは知っていた。
まだ安定期に入っていないのに式なんかして大丈夫なのかと
母とひどく心配したのだ。
しかし姉は式を断固諦めなかった。
お腹が目立たないうちにする。
姉のその行動力により、急速に物事は決まっていった。
そうしてめでたくこの日を迎え、ほっとしていたのに
よりによって本番の途中でそんなことになろうとは。
「兄貴は付き添って行った」
な…、なんて、事。
姉と義兄には申し訳ないが、流産云々より結婚式の事を考えて蒼白になった。
だってもう皆揃っていて、結婚式は始まってしまっているのだ。
双方の親戚も、友人も、同僚も、上司も、貴重な時間を裂き、丁寧な服を選んで、大きな金額を祝いに持参してここにいるのだ。
そんな人たちに言えるわけがない。
新郎新婦が不在になりましたので
これでお開きです。
…なんて。
「…ど…」
やっとのことで声が出た。
「どうするんですか」
その言葉を待っていたように、健二さんは私を強い瞳で見つめて来た。
そして、言った。
「着替えて」
…………は?
一瞬、浮かれたドレスではなくきちんとしたスーツに着替えて皆さんに謝りに行くのかと考えた。
しかし、スタッフが差し出してきたのはブルーのドレスだった。
それが、姉の選んだお色直し用のものだと知っていた私は、言われている意味を即座に理解して本気でパニックになった。
「無理です!!」
「無理じゃない!!」
即座に否定され、目の前の人が悪魔に見えた。
彼らは、こう言っているのだ。
姉に扮して、式を続行しろと。
いない新郎新婦。
あまりにも気持ちの悪い不安が喉を押してくる。
何かあったんだ。
そう思った。
「義姉さんが出血した。切迫かもって」
健二さんのその言葉に、息が止まりそうになる。
姉のお腹にすでに新しい命が宿っていたことは知っていた。
まだ安定期に入っていないのに式なんかして大丈夫なのかと
母とひどく心配したのだ。
しかし姉は式を断固諦めなかった。
お腹が目立たないうちにする。
姉のその行動力により、急速に物事は決まっていった。
そうしてめでたくこの日を迎え、ほっとしていたのに
よりによって本番の途中でそんなことになろうとは。
「兄貴は付き添って行った」
な…、なんて、事。
姉と義兄には申し訳ないが、流産云々より結婚式の事を考えて蒼白になった。
だってもう皆揃っていて、結婚式は始まってしまっているのだ。
双方の親戚も、友人も、同僚も、上司も、貴重な時間を裂き、丁寧な服を選んで、大きな金額を祝いに持参してここにいるのだ。
そんな人たちに言えるわけがない。
新郎新婦が不在になりましたので
これでお開きです。
…なんて。
「…ど…」
やっとのことで声が出た。
「どうするんですか」
その言葉を待っていたように、健二さんは私を強い瞳で見つめて来た。
そして、言った。
「着替えて」
…………は?
一瞬、浮かれたドレスではなくきちんとしたスーツに着替えて皆さんに謝りに行くのかと考えた。
しかし、スタッフが差し出してきたのはブルーのドレスだった。
それが、姉の選んだお色直し用のものだと知っていた私は、言われている意味を即座に理解して本気でパニックになった。
「無理です!!」
「無理じゃない!!」
即座に否定され、目の前の人が悪魔に見えた。
彼らは、こう言っているのだ。
姉に扮して、式を続行しろと。