素直にならないキミのせい。


「あり……が…と。」


澪はティッシュボックスを受け取り、涙だけじゃなくチーンと鼻までかんでいる。


「……そんなに…好きなの?……あいつのこと。」


そう訊くと、澪は首を横に振った。


「…もう、好きじゃない。……悔しいだけ。」


ただの強がりか、本音かはわからない。


「……蓮は、好きな人…いないの?」


……お前だし。


「…あんまり、聞かないよね、蓮の恋バナ。ってか、全然聞かないかも。」


……だってお前だもん。
本人に話してどうすんだよ。


「……ねぇ、蓮訊いてる??好きな人、一人くらいはいるでしょ?」

「………。」


一人くらいって……一人しかいねぇよ。


俺がいつも一緒に自転車乗っけて、登下校したり、

俺がいつも文句も言わず、お前のグチ訊いたり、

俺がいつも困ったお前のそばにいたりするのは、なんでだと思ってんの?


幼なじみだからじゃねぇよ?


……お前が、

澪のことが好きだからに決まってんじゃん、わかれよ、バカ。



.
< 4 / 13 >

この作品をシェア

pagetop