素直にならないキミのせい。


「…ねぇ、蓮ってば〜!」


さっきみたいに、顔を近づける澪。

その瞳は、まだ涙で潤んでいる。鼻も赤い。


「……蓮、蓮ってうっせぇなぁ。」


俺はそのうるさい澪の口を、右手の人差し指と親指でギュッとつまんで、唇を出させる。


「…じぇ……ん……にゃにするのよぅ。(連、何するのよ。)」


俺が口をつまんでいるせいで、澪はうまく話せない。


こんなに近くにいるのに、

こんなにお前のこと考えてんのに…気づけよ。



…チュ。


飛び出た彼女の唇にキスをした。


やっば……抑えきれなかった。



唇も、頬をつまんでいた右手も離すと、

澪はキョトンとした顔で俺を見る。


「……?…なに…今の?」

「……何が?」

「……今…何したの?」

「………さぁ…別に。」

「……別にって何?…今、キスしたじゃん。」

「……だから、なんだよ。」


そう言うと、さっきまで泣いていた澪の瞳が鬼みたいなつり上がった瞳に変わる。


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