りすくんと魔法のクローバー~りすねこシリーズ~
玄関の扉が開く音がしました。ねこちゃんが帰ってきたのです。
「りすくん、大丈夫?まだ病気、つらい?」

コン、コン、
りすくんは首を横に降ります。

ねこちゃんはさみしい顔をしまながら、りすくんに手を近づけました。
「私ね、みんなのクローバーが枯れてしまうのを見て。このクローバーがずっと枯れないようにってお願いしてたの。」
ねこちゃんが手にもっていたのは、あの日のクローバーでした。
確かにあの日、ねこちゃんは本に挟んだと言っていたことを。りすくんは思い出します。

「じゃぁ、このクローバーは… コン、コン、 ねこちゃんのお願いを聞いて、ずっと枯れずにいたってこと?」
りすくんは驚きを隠せません。
草花を摘み取ってから、そう何日もそのままのかたちでいるのを、見たことがなかったからです。

「うん。なんだか、とっても元気なの! だから…」
ねこちゃんは、涙を一粒流しました。
「だから、りすくん。元気になって? お願い、クローバーさん。りすくんを、元気にしてあげて…」

ぽたっ、
涙が、クローバーに落ちました。

部屋の明かりの中、夜の暗さの中。
そのクローバーは、一瞬光り輝いて見えました。
しかし、時間とともにしわしわと枯れてしまいました。
< 28 / 33 >

この作品をシェア

pagetop