Apasionado!~俺様社長様の甘い誘惑~
そういえば私、此処に来て、まだ一回もベランダに出たことないな。
出てみようか。
靴を持ってきてベランダに出る。
ゥワァ!
た、高い!
やっぱり27階は、凄いわ。
見晴らしがいいというか、全て見通せるじゃない。
でも、真下は見ちゃ駄目だわ。
こ、恐すぎる。
夜はいいだろうな。
星が近く感じれるんだろうな。
今晩出てみようかな。
手摺りにもたれて空を見上げる。
「何してんだ?」
社長がベランダに出て来た。
「気持ちいいですね。空が近くて」
「……」
「夜は星が綺麗に見えますよね」
「さぁ」
「えっ?」
社長に目を向けた。
「見たことないな」
「……」
「滅多にベランダに出ないな、そういや」
そんなもんなの?
「何か勿体ないですね」
「ん?」
「こんな素敵なとこなのに…此処は高いから、あまり騒音も聞こえないし風をこんなに感じることも出来るのに」
「そんなもんか?」
「はい。そんなもんです」
「そっか!」
「……」
あれ?何かいつもの社長と違う。
「ん?」
「あ、いや。何でもないです」
慌てて視線をそらす。