Apasionado!~俺様社長様の甘い誘惑~
俺のプロポーズ
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出先から戻って来て、ドアを開けると
「はい、申し訳ございません。社長は留守でございます。…はぁ、さようでございますか…はい、申し伝えますが…は、はい…本当にそうでございますね…」
俺が入って来たのを目で追いながら電話で平身低頭謝ってる。
その前を素通りし部屋に。
多分、電話の相手は1ヶ月程前に、飯を食った女だ。
向こうから、あからさまに迫って来たから終わりにした。
全くそんな気にならない。
てか、1、2回 飯食っただけで、何で『私の男よ』みたいになるんだ?
俺は誰のもんでもない。
でも、アイツは…欲しい。
いや、アイツだけが…欲しい。
はぁ~
アイツ…たぶん、俺のことなんて何とも思ってないよな。
下手すると嫌われてる。
いや、落ち込んでる場合じゃない。
早く手を打たないと、よそから奪われてしまう。
決断すると俺は早い。
――
―
「お茶行くぞ」
「いってらっしゃいませ」
「お前も行くんだ」
驚いたような顔でついて来る。
そりゃそうだろ。
お茶に誘うなんて初めてなんだから。
社の近くのホテルのティーラウンジで
コーヒーを飲みながら、ケーキを。
ん?
俺がケーキ食うのがそんなに不思議か?
でかい目を見開いて俺をまじまじ見てる。
って俺をどう思ってんだ?
さて…
俺を下手したら普通の人間と思ってないような女にどう切り出したらいいんだ?
…てか、こんなとこで普通するか?
コイツも一応女だし…
ドラマみたいなシチュエーションを夢みてるとか。
そんなこと…まかり間違っても俺には出来ない。
第一、仕事以外で二人きりになったこともないのに。