Apasionado!~俺様社長様の甘い誘惑~
ピンポーン
ピンポーン
中々応答がない!
もしかして具合が悪いんだろうか?
ピンポーン
ピンポーン
漸く
「はい」
「俺だ、開けろ」
インターホン越しに息を飲むのが分かる。
かなり驚いているようだ。
ドアが開いて
顔色がやっぱり悪いな。
こんな状態で一人おいとくのも…
俺の家に連れて帰ろうか。
が!
『俺の家に来い』と言うと露骨に嫌がるし。
じゃあ俺が泊まってやると妥協しても…駄目だと
俺を邪魔物扱いしてないか?
そんなの許せるはずも認めるはずもない。
さいさいの押し問答の末なんとか朝、迎えに来ることでOKした。
ほんとに我が儘な奴だ。
明朝、熱が出てたら否応なしに連れて帰る。
――
―
コイツの顔を見ていると
コイツの側にいると抱きしめたくなる。
俺の方が禁断症状が出てるような気がする。
コイツはなんとも思ってないのに。
なんだか不公平に思うのはおかしいのか?
でも今は何も考えたくない。
コイツを引き寄せ…抱きしめる。
コイツの香りに包まれる。
これ以上はもうやばい!
抱擁を解き
明日迎えに来ると念をおし家を出てエレベーターに乗ると…
ん?
アイツが走って来る。
なにがあった?
「社長…忘れ物です」
紙袋を俺に。
なんで見舞いに持って来た物を突っ返てくるんだコイツは。
「見舞いだ」
と言う驚いたように赤くなるし。
そして何も言わず部屋の隅に置いてあったから分からないと小さな声で言い訳してる。
そんなスエットだけで出て来たら、またぶり返すだろ。
愛しさが込み上げ…気がついたら抱きしめて
一階まで降りたエレベーターを三階まで上げ
「早く寝ろ。それと携帯の電源入れとけ」
コイツ…ずうっと携帯の電源切りっぱなしだ。
入れるのを忘れてるし。
家に帰って、携帯を掛けると…やっと繋がった。
見舞いに持っていったプリンを食ったらしく嬉しそうに礼を言ってる。
やっぱりあれなら喉通ったか。
アイツにはやっぱ食い物だな。
花なんか持って行かなくてよかった。