Apasionado!~俺様社長様の甘い誘惑~
片付けをして
「終わりました」
「ん。…コーヒー」
な、何なのよ~
掃除したげたのに『ありがとう』とか『ご苦労』とかないの?
たった一言『コーヒー』だって…
「コーヒー」
「はい」
オフィスと一緒だわ。
コーヒーを注いで渡す。
新聞から目も上げないでコーヒーを飲んでるし。
私の存在って…空気以下かも知れない。
「どうした?」
「えっ」
「お前は飲まないのか?」
「えっ、 の、飲んでいいんですか?」
「…あぁ」
また新聞に目を戻した。
飲んでいいのか。
じゃあ飲んじゃお。
カップに注いで一口、二口飲んだ時
「行くぞ」
へっ?
あ、30分!
「は、はい…あのぅ」
「ん?」
「カップ洗わないと」
「時間がない」
「じゃあ社長が帰ったら洗って下さるんですか?」
「……」
「すぐ終わりますから」
「……」
「5分下さい」
「5分な」
ぱばっと洗い
はぁ~
私…馬鹿だ。
社長の事なんてほっとけばいいのに
汚れ物そのままにしとくのが嫌な性分だから仕方ない。
「後1分」
計ってんの?
「出来ました」
「5分のロスだ。早く行くぞ」
さっさと家を出てく。
慌てて後を追い駐車場へ