Apasionado!~俺様社長様の甘い誘惑~
「会社から電話よ」
「はい」
先輩かしら。
「はい、お電話代わりました」
「……」
あれ?
「もしもし」
「俺だ」
社長?
「ほんとにお前か?凄い声だぞ」
嫌味言う為に掛けてきたのか?
「携帯を忘れるなんて、ほんとに馬鹿だな」
「すみません」
何で馬鹿って言われてすみませんって謝らなきゃいけないの?
「何か不都合でもありましたか?」
今日必要な書類などは先輩に頼んどいたけど。
「ほんとに病気か掛けた」
――
―
仮病だと思ってんの?
「熱はあるのか?」
「少し下がって37度7分です」
「下がって37度7分って…昨日は何度あったんだ?」
「38度3分」
「大丈夫なのか?」
心配してくれてんの?
「はい、大丈夫です。扁桃腺が腫れたようで熱が高いらしいです」
「そうか」
「はい」
「2、3日 休め」
「明日休んだら大丈夫です。明後日は行けます」
「無理すんな。また倒れられても困るしな。何より俺に移されたら困る」
「……」
「フッ 分かったな」
「は、はい。ありがとうございます」
「じゃあな。ゆっくり寝ろ」
「はい」
「あ、そこからこっちにどうして帰るんだ?」
「明日、兄が迎えに来てくれます」
「そうか、分かった。じゃあ」
電話が切れた。
あれでも一応心配してくれてるみたい。
素直にお見舞い出来ないから仮病かだなんて…
ハハッ社長らしいや。
――
―
やだ。
さっきまで忘れてたのに…また社長が夢に出てくる。
寝られないじゃない。
社長の声が耳について…
私…ほんとにどうしたんだろう?
風邪で頭までおかしくなってるのかな。