Apasionado!~俺様社長様の甘い誘惑~
「兄貴に連絡して今晩来なくてもいいって言え」
はぁ?
「仕方ない。俺が此処に泊まる」
「な、な、何ですってぇ~ ゴホゴホ」
「でかい声だすな。喉に悪い」
社長の言葉が一番体に悪い。
「大丈夫か?」
「ゴホゴホ……だ、大丈夫」
水を飲んで
「し、社長」
「ん?」
「此処に泊まってどうするんですか?」
「決まってるだろ、看病してやる」
「……」
な、何 考えてんの、この人?
社長様に看病なんて…出来る訳ないし、てか、余計に悪化するんじゃないですか!
「遠慮しなくていい」
遠慮とか、そんな問題じゃないでしょう。
頭 痛くなってきた。
「社長に看病してもらったら申し訳ないです。薬飲んでますから、ぐっすり寝れます。社長が此処にいらしても寝てもらう場所もありませんし」
どう言ったら納得して帰ってくれるんだろう。
「…お前、もしかして俺を邪魔だと言ってんのか?」
睨んでるし。
もしかしなくても思ってます。
でも、言えません。
「社長に風邪移したら大変です。…わ、分かりました。明日、申し訳ありませんが7時半に迎えに来て頂けませんか?」
「……」
これならいいだろう。
「…分かった。まぁ、いいだろう。ただし熱があったらさっき言った通りに連れて帰るからな」
「…はい」
何が何でも熱上がらないようにしなくちゃ!
でも社長と話してると…熱出そうなんだけど。
「じゃあ帰るから…もう、寝ろよ」
「ありがとうございました。明日悪いですが、お願いします」
「あぁ」
玄関で見送って。
うん?
何故か抱きしめられた。
そ、それも力一杯!
く、苦しいんですけど…
「早く治せ。いいな、俺の命令だ」
「…は、はい」
やっと離してくれた。
「じゃあな」
「ありがとうございました」
頭を深々下げてお見送り。
ガチャ!
バタン!
――
―
はぁ~ つ、疲れた。