好きとごめんのその先に
「…おはようございます」
「あぁ、おはよう」
ふいにドアが開いて、まだ半開きの目の忠見さんがリビングに入ってきた。
「おはよう、夕梨亜」
「……」
「おや、ご機嫌ナナメかな」
「……」
煙たい顔をするわたしに、忠見さんは意地悪く笑みを浮かべる。
…なにが、おはよう夕梨亜、よ。
昨日あんたがしたこと、忘れたとは言わせないわよ。
…と、口には出さない代わりに、隣の席に座った彼に睨みをきかせながら胸の内で鬱屈。
やめてと言えば、きっと今度は他の手を使って邪魔をしてくる。
だったら知らないフリをしている方が、まだましかもしれない。
実際、メールは残っているんだし、特に問題はないはず。
そのことに彼は気付いていないみたいだけど。