好きとごめんのその先に
まるで他人事のような言葉にびくっとしたのも束の間。
奏多は再びわたしの手を握ってくれた。
「別に指輪くらいどうってことないけどさ、あいつはこれで印でもつけたつもりなんだろうな」
そう言って鼻で笑う奏多。
印なんて、たまったもんじゃない。
あの人の所有物になんてなりたくない。
これからは指輪を嵌めるのは忠見さんの前だけと、心に決めた。
「……で?昨日は何もなかったのか?」
前を向いたままきいてきた奏多。
相変わらず声と表情は変わらない。
「う、うん…」
奏多から視線を外して頷いた。
…言えない。
実際は何も起きてなくても、一緒に寝たなんて信用がない話だ。
きっと奏多もいい気はしない。
本当に何もなかったんだし、これでいいよね…?
……頷いて、いい…
「どうして嘘をつくんだよ」