好きとごめんのその先に
「待って、奏多…」
どんどん遠くなる背中に向かって呟いた。
でもその声は届くことなく、わたしはその場で立ち尽くす。
奏多の家から数百メートル。
まだ会って数分しか経ってないのに、奏多を怒らせてしまった。
…奏多はきっと気付いていた。
わたしが朝早く奏多を迎えに行ったのには理由があることを。
“うまくやればいい”とか、“それでいい”とか、そんなのただの上辺の言葉。
突き通すわたしに、“もう勝手にしろ”と言いたかったのが本音のはず。
…どうして、嫌だったって言えなかったんだろう。
どうして、助けてって言えなかったんだろう。
わたし、何を恐れているの…?
…今度こそ本当に、呆れられてしまったかもしれない。
…ごめんね、奏多…