好きとごめんのその先に
前を見る
静かになった路地を歩いていると、ふと思い浮かぶのは奏多の顔。
…さっきどうしてオレンジが好きなんて言ったのか。
奏多のことを思った瞬間、自然と口にしていた。
単に奏多の髪がオレンジ色だから?
それともまだまだ子供のようだから?
どちらもそうかもしれないし、違うかもしれない。
ただ、明るい笑顔のあの子は、わたしの中ではオレンジ色なんだ。
サワサワ…
頭上の木々が、風に吹かれて揺れる。
最近少し減ってきた葉が、何枚かはらりと落ちてくる。
…なぜか不思議と、清々しい気分。
自然と、足取りまで軽い。
ママや忠見さんと話して、奏多を思って、心のわだかまりが少しとれたのだろうか。
…もしかしたら彼は、わたしを励まそうとしてくれていたのかな。
それは勘違いかもしれないけれど、そうであってもなくても、わたしにとって少しだけプラスになったことには変わりない。