好きとごめんのその先に
「まぁ、ゆりちゃんが嫌だというなら俺は全力で婚約を阻止するけど、…そういうわけにはいかないんだろ?」
「…うん…」
婚約を拒否できるものならしたいけど、きっとそれだとパパが悲しむ。
奏多が許してくれるなら、しばらくはこのままがいい。
「…奏多、無理してるの?」
「ん?」
伏し目がちだった奏多が、わたしの質問に目線を上げた。
「無理なんかじゃないよ。最良の選択だと思ってる。
愚痴や不満ならいくらでも聞くし、俺にできることは何でもしたい。だから、ゆりちゃんは余計なことは何も考えずにうまくやって」
そう言って、眉尻を下げて笑う。
…最良の選択。
奏多がそう言うなら、本当にそうなのかもしれない。