好きとごめんのその先に
「…って格好つけて言ったって、結局は俺がこれ以上の嫉妬をしたくないだけなんだけどさ」
そう言って笑った奏多からは真剣な表情は消え、すっかり普段の表情。
「なにそれ」
釣られてわたしも笑ってしまう。
「…でもゆりちゃん、これだけは忘れないで」
「?」
壁から離れて一歩近付き、わたしの手を取る奏多。
「俺はゆりちゃんを手放すつもりはないし、最後には俺の元に来て欲しいって思ってる」
「うん」
ぐっと腕を引かれ、奏多の胸の中。
すぐ近くで鼓動が聞こえる。
「あいつよりも俺の方がゆりちゃんを愛してるって、覚えておいて」
…なんて心を震わせる言葉。
自分が世界一幸せな女の子だって、錯覚してしまいそう。