好きとごめんのその先に
「…もう…わたし先に行くよ」
どんどんレベル低下していく会話に呆れて、2人の間を抜ける。
まったく……聞いてりゃどっちも子供だ。
いくらスーツを綺麗に着こなしたって、高2男子と対等に喧嘩しているようじゃ大人げない。
奏多も奏多で、そんな人に張り合うことなんてないのに…
「待ってよゆりちゃん!」
門に手をかけたところで、奏多が後ろから追いかけてきた。
「ごめん。早く行こ」
「うん」
わざわざ送ってくれると言う忠見さんを置いて、わたしは奏多を選ぶ。
2人ともそれは分かっているはずなのに…
喧嘩するほど仲がいい……のかな?
「じゃあな、夕梨亜。また後で」
歩き出そうとしたところで、わたしたちの横をすっと抜けて先を越す男。
一瞬こっちを見たかと思えば、なぜか勝ち誇った表情で門をくぐっていく。
停めてあった車に乗り込んで、颯爽と去っていった。