好きとごめんのその先に
初めての
その日から、わたしたちの中で何かが変わった。
お互いの存在が更に大きくなったような、なんだかそんな感じ。
そして一番の変化は、この手の温もり。
いつも左隣にいる奏多が、わたしの左手を握ってくれるようになった。
わたしのより一回り大きい、骨ばった手。
そういえば背も抜かされていて、気付けばいつの間にか、奏多は男らしくなったな、なんて。
そんな、ほんの些細なことだけど、すごくすごく幸せな気分になる。
…何たって、10年だから。
長かったような、そうでもないような。
必然だったのか、偶然なのか。
ふとそんなことを考えて、不思議な気分になる。