好きとごめんのその先に


奏多の部屋に来たからって、特に何かするわけではない。



お互い手を出さないって、暗黙の了解。






……のはずなのに。




「……何してんの」


「え?」



ずいっと、奏多が距離を詰めてきた。




「…だってゆりちゃんが遠いんだもん」



口を尖らせながらそう呟き、ふわりと腕を回してくる。



「…我慢するって言ったのに」


「俺、これでも我慢してるんですけど」


「……」



まぁこれくらいならいいかなって、そう簡単に許してしまう自分は、やっぱり奏多に甘いんだな…なんて。



温もりを感じながら、そう思った。
< 150 / 428 >

この作品をシェア

pagetop