好きとごめんのその先に
クリスマス
今日はいい天気。
冬に珍しく暖かく、朝からぽかぽかしている。
そのせいなのかそれともただの思いすごしなのか、早起きして用意して、心無しかそわそわしているわたし。
口には出せないけど、楽しみなんだ。
…行き先はまだ分からないんだけどね。
「ゆーりーちゃーん!」
10時を過ぎた頃、外から元気な声。
静かな住宅街に自分の名前が響き渡るのは少し恥ずかしい気もするけど…
でもそれ以上にあの声を愛しく感じる。
窓を開けて下を覗くと、奏多がこっちを見て手を振っていた。
「いま行く!」
そう一言言って窓を閉め、階段を降りる。
なんだか久しぶりの感覚。
自然と足を出すスピードが上がる。