好きとごめんのその先に
扉を開けてすぐ。
「おはよう!!」
奏多の満面の笑みが目の前に飛び込んできた。
「おはよう」
駆け寄って奏多の元へ。
意外にも似合っている全身モノトーン。
奏多のそんな私服なんてもう見慣れているのに、今日はなんだか一段とかっこよく見えたりして。
いつもと同じはずなのに違うような、そんな変な感じにわたしの心が踊る。
「今日のゆりちゃんかわいいー。髪がくるんってなってる!」
そう言ってふいに髪を触ってくる奏多。
一瞬胸が跳ねた。
「ね、寝癖を直すついでに巻いただけ!」
「ふーん?」
早口でわたしが言うと、奏多は意味深げな笑顔。
…本当は少し気合いが入りました、なんて絶対に言ってやらないんだから。
「まぁいいや、行こ!」
「うん」
奏多の言葉を合図に、自然と手が繋がれて並んで歩き出した。