好きとごめんのその先に
『まもなく、1番ホームの列車が発車します。ご乗車の方は…』
階段をのぼりきってすぐ、ホームのアナウンスが鳴った。
「げっ、マジかよ。ゆりちゃん走るよ!電車がもう出ちゃう!」
「えっ」
急に振り向いたかと思えば突然走り出した奏多。
ぐんっと腕を引っ張られて、否応なしにわたしの足までもが轡を返した。
「早く早く!」
「ちょっ…、分かってるって…っ」
急かす奏多にわたしは着いて行くので精一杯。
絡まりそうな足を何とか出して、たった今のぼったばかりの階段を駆け下りる。
プルルルルルルルルル…
「…っ」
「っ」
扉が閉まる寸前。
思いっきり走って、何とか乗り込めた。