好きとごめんのその先に
ガタンと音を立てて電車が動き出した。
動く景色に、なんだか不思議な感覚。
住み慣れた町は一瞬で過ぎ、次に映るのは見慣れない街並み。
…もしもこのまま知らない街に行ってしまったら、一体どうなるんだろう。
忠見さんのことから逃げてしまえるのだろうか。
いっそ奏多と2人で…
「…このままずっと遠くまで行きたいな…」
「…え?」
わたしの考えの続きを、奏多がぼそっと呟いた。
「だったら誰にも邪魔されずにいられるじゃん」
「……」
…わたしが思っていたのと同じこと。
「…そうだね」
なんだか胸がいっぱいで、きゅうって締め付けられる。