好きとごめんのその先に


お昼になってご飯を食べて、その後またいろんな乗り物に乗った。



ずっと楽しそうに笑う奏多の隣にいると、わたしも自然と口元が緩んでしまう。



おかげで久しぶりの遊園地を、心から楽しめた。






「―――そろそろ暗くなってきたね」


「そうだな」



夕方になると日は落ち、ひゅうっと冷たい風が吹く。



昼間はすごく暖かかったのに、急に寒くなった。




「あ、これ巻いてて」


「??」



鞄から何かを取り出したかと思えば、それをわたしにぐるぐると巻きつけてくる奏多。




「風邪を引いたら困るからね」


「…ありがと」



いつの頃かわたしが贈った、手編みのマフラー。



所々がいびつなのに、嬉しいことに奏多はもう何年も使ってくれている。



その証拠に、すっかり奏多の匂いでいっぱいだ。
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