好きとごめんのその先に
そんなある休日。
夕方、忠見さんが家に来た。
「しばらく来れなくてすまなかったな」
「…あ、いや…うん…」
別に謝ってもらわなくていいんだけど…
「今日は指輪はしていないのか」
「え?…あ、えっと…さっき手を洗ったから外してそのまま…。部屋にあるよ」
「…そうか」
階段を上りながら、わたしの左手を見て言う彼。
普段はつけてないなんて言えるはずもなく、わたしは適当に言い繕ってその場をやり過ごす。
残念そうに微笑む彼を、見て見ぬふりをした。
「…夕梨亜に会いたかった」
「……っ」
部屋に入ってすぐ、わたしに腕を回してくる彼。
その力がいつもより強く感じるのは、きっとこれが久々のことだから。
「夕梨亜の顔を見るだけで、疲れが飛ぶよ。…夕梨亜だけが俺の…」