好きとごめんのその先に
「ごめん、大丈夫?」
しゃがんで、痛がる奏多を覗き込んだ。
「こぶできた。ほら」
頭を指差し、ぷっくり膨らんだこぶを見せてくる奏多。
その上目遣いが何とも可愛い。
…なんて、言ってはやらないけど。
これもわたしの好きな表情のひとつであるのは、ここだけの秘密。
「ねぇ。あれやって?」
「え…」
大きな瞳で、今度はわたしに強請ってきた。
「すごく痛いんだよ」
「……」
だんだん大きくなるこぶに、奏多の言葉は単なる誘い文句ではない様子。
「……はい…」
申し訳なさに嫌とは言えず、そっとこぶに手を置いた。