好きとごめんのその先に
告白
バレンタインから数日。
今日は奏多の家に遊びに来た。
「はい。どうぞ」
「ありがとう」
差し出されたのは、いつものオレンジジュース。
やっぱりわたしの分の方が少し多い。
「部屋、寒くない?」
「大丈夫だよ」
細かい気配りができる奏多に、さすがだなと感心する。
「ゆりちゃん」
「?」
にこっと微笑みながらわたしの隣に腰を下ろす奏多。
「髪、ほんときれいだね」
そう言いながら、すっと指を通してきた。
「なに?」
「ううん。なんでも」
引っかかることのない感触が癖にでもなったのか、何度も指を滑らせてくる。
直接でなく感じるそれが、なんだかくすぐったい。
「女の子だね。大好きだよ」
くすっと笑ってそう言ったかと思えば、今度はふわりと腕を回してきた。
「なに?どうしたの?」
「ううん。ただ、好きだなぁと思って」
「ふふ。ありがとう」
大好きな人に褒められ、大好きな人に大好きと言われることが、どれだけ嬉しいことか。
幸せ者だなぁ、わたし。と、胸が暖かくなる。
こんな幸せな時間が、長く続けばいいのに。