好きとごめんのその先に


「ていうか…あと半月だな…」



奏多が突然、カレンダーを見て言った。



「…そうだね」



半月経てば、卒業式。



だけどその日は、忠見さんとの結婚式の予定。



忠見さんを選んだとき、わたしは卒業式には出席しない。




「ゆりちゃん、卒業式休まないよな…?」



伏し目がちに奏多が呟いた。



…そんな悲しいこと、きかないで。



その質問には、今のわたしには何も答えられない。



奏多もそれは分かってくれているようで、それ以上はきいてこない。




奏多との別れは、一番考えたくないこと。



どうにもならないと分かっていても、迫るタイムリミットに現実逃避してしまう。
< 236 / 428 >

この作品をシェア

pagetop