好きとごめんのその先に


寂しそうな目をする奏多に、今度はわたしから腕を回す。



「…ごめんね」



精一杯の謝罪の気持ちを、耳元で囁いた。




「謝るなって。…ゆりちゃんは悪くない」



そう言い、奏多は頭を撫でてくれる。





…じゃあ、誰が悪い?



忠見さん?パパ?





…ううん。やっぱり、わたしだよ。




婚約を断ることも、奏多と別れることも、どちらもできないズルい女。



そのせいで周りを傷つけて、最低な奴なんだ。
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