好きとごめんのその先に


“今日は忠見さんが来る”



すぐにそう打ち、校内にいる奏多に送信。



毎回同じ文章に返ってくるのは、やっぱりいつもと同じ、“分かった”の一言。



その一言を、奏多はどんな顔をして打っているのかな。



例えどんなに悲しい思いをしていても、きっと放課後になれば、笑って迎えにきてくれるんだろうな…






「…あっ!!次の時間、数学だよね!?」


「うん、そうだけど?」



はっと何かを思い出したエナちゃんが、急に焦り出した。



「…宿題するの忘れたー…。夕梨亜ちゃん、見せてくれない…?」



両手を合わせて懇願してくるエナちゃんに、いいよ、とノートを差し出す。



「ありがとうー!助かりますっ!」



そう言ってほっとした様子のエナちゃんを他所に、ふと昨日のことが頭に浮かんだ。



…奏多…

あの子と、何もないよね…?
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