好きとごめんのその先に
「ただいま」
玄関でそう言っても、返事が返ってこない。
パパはまだ帰っていないみたい。
ママの仏壇に手を合わせた後、重い足取りで自分の部屋へ。
ふうっとひとつ息を吐いて、そっとドアを開けた。
「ただいま…」
「……」
そこにいるはずの人からも、返事が返ってこない。
代わりに聞こえるのは、遅いテンポの息の音。
テーブルに突っ伏せた忠見さんは、どうやらそのまま眠ってしまっている様子。
きっと、仕事で疲れているのかな。
起こさないよう静かに部屋の奥に進み、彼の正面に座った。