好きとごめんのその先に


「今日の夕梨亜、なんだか優しくないか?」


「は…!?」



思わぬ言葉に、今度はわたしの方がびっくり。



「いつもの夕梨亜なら、早く帰れと言うのに」


「……」



そうだけど。



…でもだからって別に、優しくしているつもりなんてない。





「気のせいだよ」



そう言い放ち、忠見さんから少し離れて背を向ける。




「ふーん…あ、そ」



不貞腐れた彼の声が、すぐ後ろから聞こえた。
< 247 / 428 >

この作品をシェア

pagetop